「今日の相場はどのくらい動くんだろう?」と思ったことはありませんか?
実は、ADR (日中平均レンジ)を使えば相場の値動きを事前に予測できるんです。
この記事がおすすめな人
- 値幅の予測に悩んでいるトレーダー
- 損切り・利確ラインの設定に迷っている方
- 日中の値動きパターンを掴みたい初心者
ADRは過去の値動きから、その日の予想レンジを算出できるインジケーターです。
勝てるトレーダーの多くが、このADRを基準に取引する値幅を決めています。
実際のチャートを使って、わかりやすく解説していくので、すぐにトレードに活用できるはずです。
執筆者:あずきたん
トレードにおける個人裁量は一切省き、徹底したテクニカル分析の過去検証と資金管理で数字からFXを分析。
自作インジケーターの「Azukitan Trend」を作成し、2024/10/23に1億到達。
今まで培ってきたFXの知識や経験を活かし、FXで勝ち続けるためのトレード手法や戦略をブログやX(Twitter)で発信しています!
ADR (日中平均レンジ)とは?相場の値幅を予測する便利なツール
ADRは1日の平均的な値動きの大きさを示すインジケーターで、今日の相場がどのくらい動くのか、その予測に役立ちます。

定義
ADR (日中平均レンジ) は、資産のボラティリティを測定するインジケーターです。過去数日間の高値と安値の間で、価格が動いた平均的な幅を示します。計算
このインジケーターでは特定の日の平均レンジを算出するにあたって、まず指定された日数分の高値の平均を計算し、次にそれと同じ日数分の安値の平均を計算します。その後、これらの平均値の差を求めます。
過去の値動きから平均値を算出
- 通常は直近14日間の高値と安値の差を平均化
- 時間帯ごとの値幅も把握可能
トレードの基準値として活用可能
- 利確ラインの設定に使える
- 損切りラインの決定に役立つ
- ボラティリティの判断材料になる
ADRの使うタイミングは?
例えば「午前中のドル円全然動かないけど、このまま動かないの?」かな?と思った時にADRの出番です。
実はADRを見ると、午後からの値動きが活発になることが多いんです。
例えば、NY市場が開いている時間帯は、ADRの2倍程度動くことも。

まずは、取引する通貨ペアのADRをチェックする習慣をつけましょう。その日の値幅予測ができれば、無理のないポジション取りが可能になります。
トレードの精度を上げたいなら、ADRと実際の値動きの関係を毎日記録してみることをおすすめします。
ADRの使い方
基本的な使い方は数値に注目する
まず基本的な使い方は数値をみて値動きを予測する使い方です。
- 数値が大きい ➜ その日の値動きが大きい
- 数値が小さい ➜ その日の値動きが小さい
- 平均より大きい ➜ ボラティリティ増加中

例えばドル円のADRが1.2って出てるけど、実際どう使うのって思いますよね。
ADRの値の見方は「1 = 100pips」と考えます。
ADRが1.2の時は120pips幅、つまり始値の価格から上下60pips(ADRの半分)が、その日の想定レンジになります。
実際の値動きがこの範囲を超えたら、「今日は値動きが活発だな」と判断できますね。
このように、ADRは相場の体温計のような役割を果たします。
時間帯別の活用術
取引時間帯によってADRの使い方を変えることで、より精度の高いトレードが可能になります。
例えば、東京時間の序盤は小さめのレンジ設定、NY時間では大きめのレンジ設定というように、柔軟に対応していきましょう。
時間帯別ADRの特徴
例えば、その日のADRが1.0だとその日は100pipsの値動きが予想されますが、それは1日を通しての値幅です。
実際は東京時間とNY時間では動く値幅が異なります。なのでADRから各市場に合わせた値幅を予想するのが大事です。
その日のADRが1.0の時
- 東京時間前半:ADRの30%程度 ➜ 30pips
- 東京時間後半:ADRの50%程度 ➜ 50pips
- ロンドン時間:ADRの70%程度 ➜ 70pips
- NY時間:ADRの100%以上も ➜ 100pips
時間帯をもっと細かくみたい時はADRを日足で見るのではなく、5分足や1時間足などにすることでどの時間帯にどれくらい動くかをより細かく調べることが出来ます。

ADRを使ったトレード手法
ではここからはADRを使ったトレード手法を考えてみます。
ADRのブレイクアウト戦略
エントリー条件
ADRの80%を超える値動きが出現した時、その方向へエントリー
利確・損切り
利確はADRの1.5倍、損切りはADRの30%にします。
実際のチャートでの具体例
例えば下記のような場面。

日足でのADRは2.1となっている時、ADRの80%は1.68(168pips)なので、その日の始値から±84pips(168/2)動いたら、その方向へエントリーします。
これがボラティリティが上昇傾向の時に、その勢いを利用してブレイクアウトを仕掛ける方法です。
価格が大きく動いたら下手に逆張りなどはせず、その方向についていこうという考え方ですね。
利確はADRが150%なので、2.1の150%=3.15(315pips)を始値に当てはめて、始値から+157pipsの所で利確します。
損切りはADRの30%なので、2.1の30%=0.63(63pips)を始値に当てはめて、始値から+31.5pipsの所で損切りですね。
ADRと他のインジケーターを組み合わせる
ADRは他のインジケーターの組み合わせで、トレードの精度が向上します。
おすすめの組み合わせ
ADR + ボリンジャーバンド
メリット
- レンジ幅の二重確認が可能
- ブレイクアウトの判断精度が向上
- ボラティリティの変化を素早くキャッチ
使い方
- 標準偏差2σと ADRの範囲を比較
- 乖離が大きい場合は要注意
- バンド幅の変化とADRの関係を観察
ADR + RSI
メリット
- トレンドの強さを数値化
- 戻りの大きさを予測可能
- ダイバージェンスでの判断材料に
使い方
- RSIが70以上でADR上限到達なら利確
- RSIが30以下でADR下限到達なら買い
- ADR範囲内でのRSIの動きを観察
ADR + 移動平均線
メリット
- トレンドの方向性が明確
- サポート・レジスタンスの判断が容易
- エントリーポイントの絞り込みに効果的
使い方
- 200MAとADRの位置関係をチェック
- ADR範囲内のMAクロス判断
- MAの傾きとADRの関係性を確認
まずは1つ軸となるインジケーターを追加する
まずは、ADRを軸にして1つのインジケーターを追加することから始めましょう。
その組み合わせに慣れてきたら、徐々に他のインジケーターも加えていきます。
ただし、多すぎるインジケーターは判断を鈍らせる原因になるので、最大でも3つ程度に抑えることをおすすめします。
ADRを使った注意点
ADRを使う際の注意点も理解することが大切です。
ADR使用時の要注意ポイント
相場環境による変化
- 重要指標発表時は想定外の動き
- ボラティリティの急激な変化
- 市場参加者の偏り
通貨ペアによる特性
- メジャーペアは安定傾向
- クロス円は変動が大きい
- マイナー通貨は注意が必要
時期による影響
- 年末年始は変動大
- 季節性のある動き
これらの要素は、ADRの信頼性に大きく影響します。
事前に重要な指標があると分かってる場合
「雇用統計の発表日なのに、いつも通りADRで利確設定していいの?」
実は、このような重要指標発表日は要注意です。通常のADRの2〜3倍の値動きも珍しくありません。
このような日は、利確幅を広めに設定するか、場合によってはトレードを控えることも検討しましょう。
経験を積むと、「この動きは普段のADRでは説明できない」という感覚が養われてきますね。
まとめ
ADRは相場を数値化する「物差し」として使える強力なツールです。
ADRのメリット
- 客観的な判断基準になる
- リスク管理がしやすい
- 相場の特徴を把握できる
これらの特徴を活かすことで、より安定したトレード環境を作ることができます。
重要なのは、ADRを「参考指標」として使いこなすことです。
トレードにADRを取り入れよう!
まずは観察から、毎日のADR値をチェックしたり実際の値動きとの比較、ADRのパターンを発見して徐々にトレードに活用してみましょう。
そして、デモや小さなロットからトレードを開始して、記録をつけて検証することで自分なりの法則を見つけることが出来れば今以上に利益を出すことが可能になります。
ADRは、使えば使うほど自分のトレードスタイルに合った使い方が見えてきます。