相場のテクニカル分析の手法として、ダウ理論があります。これは今から100年以上前に、アメリカの証券アナリストチャールズ・ダウによってまとめられた理論になりますが、今なお多くの投資家に支持されているテクニカル分析手法です。
初心者の方であろうと、玄人の方であろうと、ダウ理論は相場の礎、トレンドを理解する上で非常に役に立つことが多いと言えます。
ここでは、誰でも理解できるダウ理論の基本とダウ理論を用いた投資手法についてご紹介いたします。
この記事の内容
- 6つの条件からなるダウ理論とは何か?
- ダウ理論を使ったトレード手法
執筆者:あずきたん
トレードにおける個人裁量は一切省き、徹底したテクニカル分析の過去検証と資金管理で数字からFXを分析。
自作インジケーターの「Azukitan Trend」を作成し、2024/10/23に1億到達。
今まで培ってきたFXの知識や経験を活かし、FXで勝ち続けるためのトレード手法や戦略をブログやX(Twitter)で発信しています!
ダウ理論とは?
ダウ理論は、以下の6つの項目を持ってして完結いたします。
- 平均は全ての事象を織り込む
- トレンドには3種類ある
- 主要トレンドは3段階からなる
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する
平均はすべての事象を織り込む
価格は全ての情報を織り込んだ、全市場参加者の総意であると言えます。
時には、経済的なファンダメンタルズの影響や突発的な大きな注文量によって短期的な価格の歪みがあったとしても、その平均は全ての情報や値動きを織り込んでいると言えます。
今の価格には意味があり、値動きには意味がある、ということです。
トレンドには3種類ある
トレンドには、長期トレンド、中期トレンド、短期トレンドの3種類が存在します。
長期トレンドとは、1年~数年続くような長いものです。中期トレンドとは、数週間~数ヶ月程度続くものです。短期トレンドとは、1時間~1ヵ月程度続く動きの早いものです。
トレンドを長い目で見れば長期トレンドの方向へ進みますが、その値動きの過程には中期トレンドの上昇、転換、下降の繰り返し、またもっと短いスパンで見ると小さなトレンドの上昇、転換、下降の早い繰り返しの中で値動きが起こっています。
それ故、時間軸を変えて、各スパンにおけるトレンドの方向性を理解しておくことは相場を理解する上では重要な意味を持ちます。
主要トレンドは3段階からなる
トレンドの中には、3つの局面が存在します。
トレンド転換後のトレンド始まり、第1段階の「先行期」、第1段階のトレンドを確認後トレンドの方向へ注文が集まる第2段階の「追随期」、そしてトレンドの終焉、最後の押し上げの注文が集まる第3段階の「利食い期」です。
長期、中期、短期の各トレンドには、トレンドを押し進めるためにこの3つの段階が存在しております。
平均は相互に確認されなければならない
トレンドが生まれているのか、レンジなのかを判断するのには、何か一つの指標に頼るのではなく、複数の指標によって確認される必要があります。また、実際にトレンドが発生している時というのは、様々な指標で相互にトレンドは確認されることになります。
高値を更新したからと言って、それが上昇トレンドだと判断するのは早計だと言えます。その後に、低値も更新してしまうかもしれません。
しかし、高値更新と共に低値も前回より底上げされていれば、それはトレンドが生まれた可能性が高いと言えますし、その後も順次高値、低値の切り上げがあれば上昇トレンドが発生していると判断できるわけです。そして、そういう時には移動平均線も上昇トレンドを描いているということです。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
トレンドが生まれている時というのは、多くの買い注文、売り注文を捌いて、それでも値動きが一方向へ動き続けることになります。新値を付ける度に多くの逆注文や決済注文が出てくるわけですが、それをも上回る圧力があるから値動きが一方向へ進み続けるわけです。
そうなるためには、出来高の増加が必要になります。また、出来高の増加がない値動きはトレンドとしては弱いものと判断されます。それは、多くの逆注文が出た時にあっさりとトレンドが転換してしまうからです。
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する
トレンドは強いものであればあるほど、長いものであればあるほど、しっかりとした転換のシグナルの確認が重要となります。一度できたトレンドは、確実な指標が確認されるまで継続されます。
また、多くの投資家もトレンドは継続されると思っていますので、多くの投資家の心理状況を変えるためにも、明確な転換シグナルが発生することが重要なのです。
相場が人によって動かされているものである限りは、市場参加者の総意によってトレンドの方向性は決まります。一度できた多勢のトレンドは、なかなか終わらないということです。
ダウ理論を使った手法
ダウ理論を用いて投資を行う上で重要な要素は、トレンドには長期、中期、短期の3つのトレンドがあり、各トレンドには先行期、追随期、利食い期の3つの段階があるということを抑えておくことです。
これと移動平均線を使えば、投資のタイミングを掴むことができます。ダウ理論はトレンドを量る理論ですので、トレンド方向へ順張りでポジションを持ちます。長期と中期と短期のトレンド方向を確認し、全てが同じ方向へ揃った時が投資を行うタイミングです。
3つのトレンドの方向性が揃った時というのは、最もトレンドの圧力が強い状況です。逆方向へ動かれるリスクが少ない、ということです。取引は、短期トレンドを参考に入ります。
5分足のローソク足をベースに、中期トレンドの方向性を1時間足で量り、長期トレンドの方向性を日足で量ります。中期トレンドと長期トレンドの方向性を予め合わせておき、短期トレンドの方向性もその方向へ合った時がエントリーポイントです。
移動平均線は24本平均に設定しておきます。
エントリーポイント
エントリーポイントは、長期(日足)、中期(一時間足)、短期(5分足)トレンドの方向性が合ったタイミングで、短期トレンドの追随期でのエントリーを狙います。
理想的には短期トレンドの先行期でエントリーをできればベストですが、実践上それは難しいことが多いのでトレンドの形成を確実に確認できたタイミングでポジションを持ちます。
短期トレンドの追随期を狙いますので、上昇トレンドなら前回の底値に対して底値の切り上げが行われているかどうかを確認しておきます。そして、前回の高値に対して値動きがその高値を越えたらそこがエントリーポイントです。
下降トレンドなら前回の高値に対して高値の切り下げが行われているかどうかを確認しておきます。そして、前回の底値に対して値動きがその底値を越えたらそこがエントリーポイントです。
ポジションは長期で持つことを前提に、一回当たりの投資額を総資金の5~20%に抑えてください。
利益確定条件
ダウ理論は順張りの王道理論ですので、トレンドの転換が起こるまでトコトン利益は伸ばせるだけ伸ばします。勝率ではなく利益重視です。短期トレンドに合わせてポジションを持っていますが、決済のタイミングは長期トレンドの終焉に合わせます。
長期トレンドが3つの段階の内どの局面にあるのかが判断できるのなら、その長期トレンドの終焉、利食い期で決済を行います。長期トレンドの段階がよく分からない時には、中期トレンドの局面に着目します。
中期トレンドが3つの段階の内どの局面にあるのかが判断できるのなら、その中期トレンドの終焉、利食い期で決済を行います。中期トレンドの段階がよく分からない時には、短期トレンドの局面で決済を行います。
短期トレンドの利食い期で決済を行います。トレンドの判断に迷う場合は、一度決済をしてください。相場の全てを理解することは難しいことで、常に的確に相場を読むことはできません。
ですから、分からないと思ったら怪しいままで、安易な憶測で取引をしたり、ポジションを持ち続けたりするのではなく一度決済をしてください。そして、チャンスを待って、また相場が理解できた時にエントリーを行えばよいのです。
ただし、利益を確保したいから利食いを焦るというのは、ダウ理論を用いた順張りの長期理論のよさが活きないことになります。
損切り条件
損切りは、ダウ理論に則って、トレンドの転換を確認したタイミングになります。短期トレンドでトレンドの転換を確認した場合は、そこで決済します。
トレンドが転換しているなら、例えば上昇トレンドだったものが下降トレンドに転換したのなら、高値が前回より切り下がり、底値も切り下がります。
下降トレンドだったものが上昇トレンドに転換したのなら、底値が前回より切り上がり、高値も切り上がります。短期トレンドでトレンドの転換が確認できない場合でも、中期トレンドでトレンドの転換が確認されたらそこでも決済します。
また、長期トレンドの場合も同様です。トレンドの転換が確認されない内は、損失が膨らんでもしばらくは様子見です。ただし、ポジションを抱えた状態で相場のトレンド方向性がよく分からなくなってきたという場合には、一度そのポジションを決済してまた相場のトレンドが掴める状態になるまで様子を見ましょう。
最後に
ダウ理論は相場のトレンドを掴み、長期の順張りを行うのには非常に優秀なテクニカル指標と言えます。
ダウ理論を使った投資手法は、各トレンドの方向性を合わせてエントリーを行うだけですので、初心者向きで簡単に理解できるものです。
また、ダウ理論は他のテクニカル指標と複合的に使うことによって大きな成果をもたらすことも多いですので、積極的に活用したい理論となります。